レチノールは細胞の分裂を促進する作用があり、通常は肌細胞や粘膜を正常に保つなどの働きがあり体にとって欠かせない栄養素ですが、妊娠中にはレチノール過剰摂取によって胎児に奇形(水頭症・口蓋裂など)を出現させる可能性が高まるため、注意が必要です。
野菜や果物は量に関係なく安全
植物に含まれているのはレチノールそのものではなく、βカロテンという成分で、体内でレチノールに変換されます。ただし体内で変換されるβカロテンは一部で、しかも体に不足している分量のレチノールしか生成されないため、野菜や果物を食べることによるレチノール過剰摂取は起こらないとされています。
動物性レチノールに注意
注意が必要なのは動物性タンパクに含まれているレチノールです。妊婦がとっても問題ないとされるレチノールの一日摂取量の上限は2700μg (マイクログラム) とされています。
注意が必要な食品は次のようなものです。
(※100g中のレチノール含有量を示しています)
◎鶏レバー・・・14000 μg
◎豚レバー・・・13000 μg
◎あんこうきも・・・8300 μg
◎ウナギ肝・・・4400 μg
◎レバーペースト・・・4300 μg
◎うなぎ(蒲焼)・・・1500 μg
◎ほたるいか(生)・・・1500 μg
◎牛レバー・・・1100 μg
◎ぎんだら・・・1100 μg
◎あなご・・・890 μg
レバーやうなぎなどは少量の100gでも一日の上限を大幅に超えてしまうため、妊娠中は食べないほうがベターでしょう。
しかし万が一知らずに食べてしまった、という場合も心配する必要はありません。胎児の奇形が発生する危険のあるレチノール量は一日上限の倍の5000 μgを〝毎日摂取した場合〟であるため、一回の摂取によって胎児に問題が発生することはないとされています。
その他の動物性レチノールは?
そのほかの動物性タンパクに含まれるレチノール含有量は比較的低いため、日常的に摂取しても問題ないとされています。
◎鶏手羽肉・・・59 μg
◎鶏ひき肉・・・40 μg
◎鶏もも肉・・・39 μg
◎牛肩ロース・・・10 μg
◎豚バラ肉・・・10 μg
◎鶏ムネ肉・・・8 μg
◎豚ロース・・・6 μg
◎ベーコン・・・6 μg
◎鶏ささみ・・・5 μg
◎生ハム・・・5 μg
◎豚もも肉・・・4 μg
◎鶏すなぎも・・・4 μg
◎卵白・・・0 μg
授乳中は?
授乳中にはレバーやうなぎなど、レチノールの含有量の多い食品を食べても良いとされています。出産後に不足しがちな鉄分を補うこともできるため、むしろ積極的に摂るべきでしょう。